2018年6月10日

キャップレートについて―たかがキャップレート、されどキャップレート

オフィス等のコマーシャルリアルエステートの価格相場感を表す指標として、最も一般的に使われている「Cap Rate(キャップレート)」。イギリスではイールドと言われます。日本語では、利回りに相当します。

キャップレートとは 


「Cap Rate = NOI(Net Operating Income)÷ 値段」で、不動産からの年間ネット利回りと同じです。NOI(年間の賃貸純利益)が10の不動産の値段を200で買うと、キャップレート5%で買ったこととなります。

この考えを活用し、先程の式を「値段 = NOI÷ Cap Rate」と変形して、不動産の値段を決める際にキャップレートを使うことも多いです。同じ例でいうと、NOIが10の不動産の値段を決める際、キャップレート5%程度で売れるであろうと想定すると、この不動産の値段・価値は200と計算できます。

キャップレートはひとつ?


キャップレートは値段の尺度を統一した基準で比較するのに便利なので、マーケットでよく用いられます。たとえば、ビルAはキャップレート5%で売れた、ビルBはキャップレート3%で売れた、等、色々な取引の比較の物差しに使えます。キャップレートが低い方が、買い手は低い利回りで買った(=つまり高い値段で買った)ことになります。

ところがこのキャップレート、色々な種類があります。

「Cap Rate = NOI ÷ 値段」なので、一番問題になるのがNOIに何を使うかです。まず、いつの時点のNOIなのかについて、以下のようなタイプが考えられます。

①過去1年を遡ってのNOI実績値
②今後1年のNOI予測値
③安定稼働した際のNOI予測値

さらに、NOIの計算に何を含めるかについても、リーシングの仲介料や修繕費(Capex)を差し引いた後の数字か否か等、 いくつかのパターンがありえます。

その国やマーケットの商習慣で一般的に意味するところは違うと思いますが、ブローカーや投資家等と話す際、相手も同じ意味で使っているのか?という意識を持っておくことは重要です。
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