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2017年2月4日

アメリカ不動産価格は5年連続の上昇

米国不動産データ提供会社CoStarによる価格指数CoStar Commercial Repeat-Sale Indicesの最新データが発表されました。

商業不動産(非住宅、オフィス等賃貸物件)の価格は、第4四半期にかけてスローダウンしたものの、2016年の1年間で6.8%上昇しました。セクター別で見ると、最も上昇したのはホスピタリティ(ホテル)の物件価格で、二桁の上昇率でした。

(via CoStar)

Land Indexという土地代についての価格インデックスも発表されており、それによると、土地価格は2016年の1年間で3.4%の上昇。土地代は2012年に底を打ち、その後上昇を続けていますが、まだ前のサイクルのピーク価格を14%下回る水準となっています。物件価格は上のチャートにもあるように、2007年ごろのピーク価格を既に上回っています。

2017年1月28日

ハーバード大学のエンダウメントが不動産チームをスピンオフ

エンダウメント投資戦略でも話題となった、ハーバード大学のエンダウメントが、不動産チームをスピンオフすると発表をしました。
In Major Shake Up, Harvard’s $35.7 Billion Endowment Will Spin Out Real Estate Investment Team

35.7ビリオンドル(4兆円)の運用金額を誇るハーバード大学のエンダウメント(Harvard Management Co.)が、スタッフを半数にし、JLL出身のダン・カミング率いる不動産運用チームをスピンオフさせます。

昨年度、ハーバードのエンダウメント全体はマイナス2%のリターンであった一方、不動産に限っては13.8%のリターンであったとのこと。切り離された不動産部門は、ハーバードエンダウメントの外部マネージャーとして機能するようになるそうです。

狙いがはっきり分かりませんが、エンダウメント本体をスリム化し、投資運用は外部マネージャーに委託する方式に統一させていきたいということなのでしょうか。

2017年1月8日

イエシルの非住宅版に期待

イエシルというマンションの価格情報提供サービスがあります。

イエシルによる価格情報


イエシルは各個別マンション、部屋ごとにその物件価格情報をストックしたデータベースを提供しています。


情報はウェブクロールにより収集したものに基づいているため、精度としては疑問ではありますが、まずは膨大なマンション物件をデータベース化した、というだけで価値があると感じます。Home'sプライスマップよりも見やすいですし。

ビジネスとしては、サイトにアクセスを集めてそこから不動産会社へつなぐモデルで、これまでの不動産サイトと同様です。

マンションはこうしたデータベースがありますが、これをオフィスや商業施設にも展開するサイトが出てきて欲しいところです。

アメリカにはCoStarという不動産データベース会社があり、そこに全物件の情報(面積、テナント、賃料、売買価格等)が分かる範囲で入っています。CoStarは、データベースのアカウントをデベロッパー・投資家等に売って利益をあげます。デベロッパー・投資家はこのデータベースを使って、あるエリアの需給状況等を自由に分析できます。

タイムマシン経営で、誰か作ってくれないかなと期待しています。

結局最近の日本のフィンテックも、アメリカ発のサービスのタイムマシン経営(例えば、マネーフォワードも、Mintの日本版)ですし。

2017年1月7日

トランプの新築ホテルで工事代金未払い

トランプのワシントンDCのホテルが、工事代金未払いで揉めているという報道。
Trump’s DC Hotel Tagged With $5 Million in Unpaid Worker Liens



工事業者が仕事をしたにも関わらず発注者が代金を支払わない場合、lien(先取特権)を設定し支払要求します。

トランプが新しく開発した、ワシントンDCのホテルでは5百万ドル未払いがあるとのこと。

トランプ側は、施工業者の仕事が悪かった場合、代金を全て支払わないのは交渉上の戦略だ、と主張。同様に、過去の物件でもlienで揉めることはよくあったようです。

不動産開発者の立場にたてば、トランプの言う通り、契約通りの工事が出来ていないのであれば、代金を支払うわけにはいかず、手直し工事をやらせて完了次第支払うか、値切るか、を目指すのは当然です。今回のようなケースでは、契約通りの工事ができたかどうか、発注者と工事業者で見解が分かれているのでしょう。

2016年11月12日

トランプ大統領のアメリカ不動産への影響

次期トランプ大統領となることにより、どのような影響が米国不動産市場に出てくるのでしょうか。

キャップレートが上昇する


各所でその考察がされているところですが、例えばNREIのこの記事。利上げペースが遅くなる、CMBS市場が短期的には不安定になる、新規建設がスローダウンする等いくつか起こりそうなことが挙げられていますが、確かに起こりそうだなと思われるのは、キャップレートが上昇するだろう、という点です。

インフラへの投資、減税により財政規律が緩み、また、閉鎖的な貿易政策を行うことによりインフレ圧力がかかります。こうしたことも織り込んでか、米国債10年物の利回りは急上昇しています。


キャップレートと金利との関係


キャップレートは大まかに言うと不動産の収入を価格で割ったもので、株におけるPERの逆数のような指標です。キャップレートと10年物国債利回りの間には緩やかな相関(相関係数0.7)があります。

(via TIAA)


以下のようにキャップレートと国債利回りとの間のスプレッドは一定ではないため、単純な相関にはなりません。例えば、2007年頃の不動産サイクルのピークでは、市場が不動産に対して相当強気だったのか、ほぼスプレッドはありません(不動産利回り=国債利回り)。


(via TIAA)

とはいえ、ざっくりいうと金利が上昇する環境下では、キャップレートが上がる傾向にあるのは変わりません。不動産価格=不動産からの収入÷キャップレート、であるために、もし不動産からの収入が不変であれば、Cap Rateの上昇は不動産価格の低下を意味します。キャップレート上昇のなかで不動産からのリターンを確保するには、不動産からの収入も一緒に上昇していくかがキーとなります。

2016年10月16日

アメリカ不動産はサイクルのピークなのか?

みずほ銀行系の企業であるユニゾホールディングスが、ワシントンDCで不動産を爆買いしていると ニュースになっています。(Japanese REIT on buying spree, closes on fifth D.C. sale in eight months

(theexecutivebuilding.com)

今回取得した332,022sfのExecutive Building(写真の建物)は、取得価格$228百万($687/sf)。ユニゾは今年の3月以降、DCエリアで5件目(合計$800百万)の投資を行っており、他の投資家を圧倒している、と報じられています。

日本企業は概して海外不動産投資の動きは遅く、日本企業がこぞって参入するようになれば、そのマーケットはピークだと言われることがあります。

ユニゾだけでなく、最近は日系企業の米国不動産投資のニュースをよく見かけます。米国不動産はそろそろピークなのか。日系企業がいいカモにされているだけでなければいいのですが。

2016年10月1日

米国不動産は変わらず価格上昇中

米国不動産データ提供会社CoStarによる価格指数CoStar Commercial Repeat-Sale Indicesの最新データが発表されました。

商業不動産(オフィス等賃貸物件)の価格は、8月に1.1%上昇し、2007年のピークより25.8%高いレベルとなりました。

この好調がいつまで続くのか、見極めが難しいところですが、大手機関投資家Blackstoneは、売却による利益確定を進めているようです。(Blackstone’s Baratta Says Now Is Most Treacherous Time Ever

2016年7月24日

アメリカの戸建てリート

アメリカでもまだまだニッチな戸建て住宅のREITの展開、楽しみに見ています。



戸建て住宅REIT


先日、Blackstoneが子会社のInvitation HomesをREITとして上場させる計画との報道が出ました(参考:Bloomberg記事)。

リーマン・ショックまでは、アメリカでも戸建て住宅の賃貸市場というものは機関投資家ではなく、個人等の地元の小さな投資家がプレーヤーとなるマーケットでした。機関投資家にとっては、ばらばらに散らばった住宅を所有しても管理コストがかさみ、規模の経済が働かずにアパートと比べてメリットが無いため、機関投資家は参入しませんでした。

ところがリーマン・ショックにより住宅価格が暴落、抵当物件等がまとまって売りに出されるようになり、機関投資家も1つのエリアにまとまって物件を買うことができたため、それをきっかけとして戸建て住宅REITも生まれています。規模の経済を追うためか合併も進み、現在以下のようなREITがあります。

American Homes 4 Rent (ティッカーシンボル:AMH)
Colony Starwood Homes (ティッカーシンボル:SFR)
Altisource Residential Corporation (ティッカーシンボル:RESI)
Silver Bay Realty Trust Corp. (ティッカーシンボル:SBY)

最大手のAmerican Homes  4 Rentは約5万戸を所有しており、Invitation Homesも同程度の規模です。

今後の展開


アメリカでも新しくマイナーなREITセクターであるため、今後さらに発展するのかどうか、まだまだ分かりません。米国での住宅に対する賃貸需要は相変わらず底堅いので、今後も成長していく可能性はあると思います。日本では今のところ戸建て住宅に投資するリートは無いようですね。

2016年7月11日

世界トップの不動産機関投資家はどこか?

世界の不動産に対し投資している、年金・保険会社等の機関投資家のランキングを見てみましょう。

世界最大の不動産機関投資家はADIA(アブダビ投資庁)


Boston Consulting Groupによると、グローバルのトップ不動産投資家は下図の通り(2015年、不動産の運用資産額順)。

(Source: Boston Consulting Group)

①ADIA(Abu Dhabi Investment Authority、アブダビ投資庁):US$58.0 billion
②Northern Trust(米系資産運用会社):US$46.2 billion
③apg(オランダ系資産運用会社):US$43.7 billion
④ABP(オランダの役人・教職員年金基金):US$40.3 billion
⑤CalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金):US$29.9 billion
⑤TIAA-CREF(全米教職員年金・保険基金):US$29.9 billion

日本からはニッセイが資産規模US$15.5 billionで、23位にランクインしています。

今後、日本の年金基金であるGPIFが不動産への投資を増やしていった場合、どの程度になるでしょうか。全体ポートフォリオの5%まではインフラ、PE、不動産に投資可能のようですが、仮に、全体の全運用資産140兆円のうち、2%が不動産になるとすると、US$28 billion($1=100円)になりますので、GPIFも世界最大級の不動産機関投資家になり得ます。

2016年7月9日

年金基金が米国不動産リターン見通しを引き下げ

NREIの記事よると、主要機関投資家である年金基金が、米国不動産からのリターン見通しを引き下げたとのことです。

昨年時点では5年平均リターン見通しが8%だったのに対し、今年の見通しでは6.7%に下がっています。主な要因としては、今後の値上がりから期待できるリターンが小さくなったこと。

下図はセクター別に今後3年間の期待リターンを示したものですが、物流不動産に対して最も強気、オフィスについて最も弱気である点が興味深いです。




2016年2月20日

セルフストレージはアジアでも普及する?

日本ではまだ普及していませんが、セルフストレージ(トランクルーム)は不動産セクターとしてアジアでも普及するのでしょうか?

需要はどこから?


CBREのリサーチ・コンサル部隊のCBRE Economic Advisorsが発表する、About Real Estateというコラムがあります。

昨年の6月4日のコラム「SELF-STORAGE IS POISED FOR GROWTH IN ASIA」で、アジアでもセルフストレージは普及する、と主張しています。

どういうニーズから需要が生まれるのかというと、個人需要は4つのD(death, divorce, downsizing and dislocation)、企業需要は会社の拡大・縮小によるとのこと。つまり何らかの理由で変化が生じる時にニーズが発生するようです。

誰かが亡くなった場合は遺産整理のプロセスで、離婚した際は新しい生活環境に対応するため、小さい住宅に引越す場合の荷物置き場として、人生の転機(大学入学・結婚・就職・転職)等の環境変化によって、セルフストレージの需要が生まれるそうです。

CBREは、アジアでは上記のような要因は大きいため、セルフストレージが普及すると主張しています。

なお、各国の各家庭の平均住宅サイズ(一人あたり)を比較したものが下図。東京は329 sq. ft.(約30㎡)と狭いですが、香港・シンガポールはさらに狭いですね。

(Source: CBRE)

アメリカではセルフストレージは普及しており、専業の上場REITもありますが、東京などと比べて土地・賃料が安く、セルフストレージも安く借りられることが大きいと思います。東京ではトランクルームとはいえ賃料が高くなり、なかなかお金を支払ってまで使おうと思わないのではないでしょうか。

2016年2月6日

アメリカ不動産のリターンは2015年も好調

NCREIFのリターン情報が更新されました。

NCREIFとは


NCREIFはアメリカの不動産業界団体で、日本で言うと不動産証券化協会のようなイメージでしょうか。年金基金等の機関投資家の資金を運用するインベストメントマネージャー達が提供するデータに基づき、米国不動産のリターンインデックス(NCREIF Property Index (NPI))を公開しています。機関投資家が持つようなグレードA不動産(商業用不動産と言われる、賃貸用物件)のリターンの状況、と捉えておけばOKです。

2015年も引き続き好調


2015年のアメリカの不動産トータルリターンは年間13.3%でした。トータルリターンには、賃料からのリターンと、値上がりによるリターンの両方を含んでいます。S&P500が1.4%だったことと比べて、非常に強い数字です。

セクター別にみると、特にリテール、インダストリアルが好調だったことが分かります。

(Source: NCREIF)

Capレートは歴史的低さで、4.7〜4.8%程度です。

(Source: NCREIF)


ただ、国債と比べた時の相対的な価格感をスプレッド(不動産capレートと国債利回りの差)でみると、長期平均程度。

(Source: NCREIF)

海外からの資金流入が急増


キャップレートを押し下げている要因の1つに、好調な海外からの資金流入がありそうです。2015年の外国投資家によるアメリカ不動産投資金額は近年まれに見るボリューム。特にアジアからの投資急増が顕著です。

(Source: RCA)

2015年8月8日

米国REITに投資するならどのセクター?


日本からアメリカのリートに投資する場合は、インデックスファンドやETFを買う場合が多いとは思いますが、個別銘柄や個別セクターを狙うとすれば、どれがいいのでしょうか。参考として過去のリターンを見てみましょう。NAREIT(全米REIT協会)が、過去のREITのリターンのデータを公開しています。1994年〜2014年までの年間リターンデータをもとに、セクター別の年平均リターンとリスク(リターンの標準偏差)、リターン÷リスクを示したのが下表。


リターン÷リスクが大きい方が、リスクと比べてリターンが大きい、優れた投資実績となります。過去20年間で最も優れたパフォーマンスを示したのは、Self Storage(セルフストレージ、トランクルーム)です。Public Storage、CubeSmart、Extra Space Storage等の銘柄。リーマン・ショックの2008年でもプラスのリターンでした。2番目はヘルスケア。銘柄としては、HCP、Health Care REIT、Ventas等があります。両方とも、オフィス等と比べると少し特殊なタイプなので、そのセクターが発展していく流れに乗れば優れたパフォーマンスとなりそうです。

一方で、この20年間で最も低いパフォーマンスだったのはホテルセクター。オフィス、商業、インダストリアル、住宅といった伝統的なセクターのなかでは、Apartments(賃貸住宅)が最も優れたパフォーマンスであったことが分かります。

2015年8月7日

アメリカで盛り上がる農地への投資


先日のWSJに、米国教職員年金運用TIAA-CREFの農地投資ファンドが30億ドルもの資金を調達したとの記事があり、じわじわとアメリカで農地への投資が盛り上がってきているようです。オフィスや商業施設、住宅等と比べるとまだまだニッチなマーケットですが、上場している農地REITもFarmland Partners Inc.とGladstone Land Corp.の2つあります(2つとも2013年上場)。同じWSJの記事では、American Farmland Co.が3つ目の農地リートIPOの動きが進んでいると報じられています。

Farmland PartnersやGladstone Landは、農家から農地を買い取り、その農家に土地をリースして賃料収入を得る(セール&リースバック)のが基本ビジネスモデルです。農地の賃料は年1回か2回にまとめて前払いされるのが特徴的です。

エリアや作物の種類等で戦略が異なり、Farmland Partnersはとうもろこしや小麦の農地を地理的に分散して投資し、Gladstone Landはストロベリーやレタス、トマト等の農地で、カリフォルニアやフロリダに集中しています。上場以来、コモディティの価格下落のためか、株価が低調のようですが、将来性はありそうです。

2015年4月17日

アメリカの地価総額


以前、アメリカの不動産価値総額についての記事を書きましたが、先日、アメリカ政府のBEA(Bureau of Economic Analysis:経済分析局)が、土地の価値総額についてのレポートを発表しました。

New Estimates of Value of Land of the United States」では、アメリカのアラスカ州とハワイ州を除く地域全土についての地価総額を推計し、2009年時点で約23兆ドル(1ドル100円で2300兆円)としています。連邦政府は全土地面積の24%を所有し、その価値の合計は1.8兆ドルとのこと。価値の割合でいうと8%に過ぎませんので、連邦政府は価値の低いところの土地を結構保有しているということのようですね。

2015年3月31日

家はスタバ、ホールフーズマーケットの近くに買え!


アメリカの不動産界隈の言葉で、スターバックス・エフェクトやホールフーズ・エフェクトというものがあります。 これは、スタバやホールフーズ(オーガニックスーパー)がオープンすれば、その周辺の不動産価値が上がっていくというもの。日本でも、スタバができれば都会になってきたな、というような感覚があるのではないでしょうか。

スタバ効果については、実証データも有り、フラペチーノエフェクトという名前がつけられています。下表を見ると、スターバックスが近くにある住宅の方が、住宅全般や他のコーヒーチェーンであるダンキンドーナツ付近にある住宅よりも、住宅価格の伸びが大きいことが分かります。

(via qz.com)

オーガニックスーパーであるWhole Foodsは、値段は高めですがお洒落なオリジナル商品も多く、人気のスーパーです。Urbanfulによると、ホールフーズの出店戦略は、大学卒以上の商圏人口が20万人以上いることを条件として、これから伸びるであろうエリアに注目しているようです。たとえ所得が高くなくても、オーガニックにこだわるような意識を持つ層が多ければホールフーズに来るという狙いのようです。スタバ効果のようにはっきりしたデータはありませんが、同様に、ホールフーズがオープンしたエリアは不動産価値が上がると言われています。

2015年3月30日

マクドナルドがREITをスピンオフ?


最近何かと話題のマクドナルド。アメリカのニュースでは、マクドナルドに投資しているファンドマネージャーが、店舗等の不動産をREITとしてスピンオフすることで200億ドル価値が上がる、と指摘したことで株価が上昇したことが話題になりました(参考:Bloomberg)。

会社が持っている不動産アセットをREIT化することで価値が上がる、というのが分かるようで分からないところです。日本では、星野リゾートが星野リゾート・リート投資法人を、イオンがイオンリート投資法人をスピンオフしましたね。星野リゾートリートはその後、他社が運営しているチサンインを取得していますし、少しイメージが違うかもしれません。

アメリカではこのREIT化というのはよく話題としてはみるものの、あまり実現していないような印象です。

弁護士事務所Morrison & Foersterの記事によると、REITスピンオフの最大のポイントは、tax freeのメリットの享受。REITは元会社に不動産を貸付け、その賃料収入がREITの収入になるものの、REITは法人税が課税されない分、スピンオフ前よりも税の効率がよくなり、価値が上がるというもの。この仕組でのREIT化の歴史は浅く、以下の3事例があります。
  • Penn National Gaming(カジノ運営会社)によるGaming and Leisure Propertiesのスピンオフ
  • CBSが屋外広告板をCBS Outdoorとしてスピンオフ
  • The Ensign Group(介護・リハビリ施設運営会社)によるCareTrust REITのスピンオフ
これに加え、通信会社Windstream Holdingsが近日中にファイバーや銅線等のネットワーク資産をREIT化する模様(参考:Zacks)。McDonald’s以外にも、不振にあえぐデパートのシアーズもREITスピンオフの話があり、こちらは具体的に検討が進んでいますが、業績のよくないシアーズのみがテナントになるREITに需要があるか?という問題もあるようです(参考:National Real Estate Investor)。他にもカジノ運営のPinnacle Entertainmentやフィットネスジム運営のLife Time FitnessもREITスピンオフを検討中。

Restaurant Newsによると、マクドナルドは単純に自分が所有する不動産を運営するというビジネスではなく、所有する不動産をフランチャイジーに貸付け賃料を取り、それにより儲けているため、不動産をマクドナルドから切り出すことは意味が無いことのようです。フランチャイズ店には、ライセンス料とは別に、売上の8.5%〜15%を賃料としてチャージするようで、それが結構儲かる仕組みみたいですね。マクドナルドは、レストラン業というよりは、ライセンス販売&不動産業という感じです。


2015年3月20日

ニューヨークのホテル業界を攻めるAirbnb

日本でも随分浸透してきたAirbnbですが、ニューヨークではいよいよホテル業界を本格的に脅かしそうなところまで来ているようです。


上の図は、Inside Airbnbによるものですが、ニューヨークのマンハッタン付近のAirbnbのリスティング。赤が家・アパート全体、緑が個室、青は共有部屋の貸出し。ニューヨーク全体で27,392部屋が宿泊可能で、平均一泊$171。ホテルに近い宿泊体験になる、家・アパート全体貸し切りの赤のみを表示すると以下の通りで、こちらでもマンハッタン全体を覆い尽くしていることが分かります(平均一泊$226)。



2013年5月7日

アメリカの不動産価値の総額は?

ふとアメリカの不動産の総額はどの程度なのかが気になったので調べてみました。


まとまった数値は出ていないようですが、FRBによるFlow of Funds(資金循環統計)が参考になります。最新のデータは2013年3月7日に発表されています。バランスシートの以下の3つのものにReal Estateという項目があり、それらを合計すると約38兆ドル(3800兆円)となります。

・B.100 Balance Sheet of Households and Nonprofit Organizations
・B.102 Balance Sheet of Nonfinancial Corporate Busines
・B.103 Balance Sheet of Nonfinancial Noncorporate Business

しかし、これは家計や非営利組織、非金融機関の所有する不動産のみが対象になっているので、少なくとも、政府や金融機関の所有する不動産価値が含まれていないと思います。なお、この不動産は時価で、住宅・非住宅の両方含みます。また、土地と建物に区別はされていません。総額の結論は不明ですが、最低でも38兆ドルあるということは言えそうです。

一方で、日本の不動産資産の総額は、野村総研による資料(日本の不動産投資市場2012[PDF])によると、2010年時点で2,489兆円とのこと。その内、土地と建物が約半々とされています。当然ながら、東京の土地でアメリカ全土が買えると言われたバブル時代とは全く違いますね。Flow of Fundsは過去データも公開されていますが、参考までに1990年のデータを見ると、上記3つの合計は約14兆ドルに過ぎません。

関連記事:アメリカの地価総額

2013年4月7日

アメリカ不動産業界ランキングの調べ方

日本でよく見かける業界ランキング、アメリカの不動産業界について調べるにはNational Real Estate Investorのサイトが便利です。無料の会員登録をすれば、アパートメントオーナーやオフィスディベロッパー、ホテルオーナー等の様々なランキングを見ることができます。

試しに、2012年のオフィスディベロッパーランキングを見てみるとこんな感じです。サイトでは25位まで掲載されていますが、ここではトップ5のみ紹介します。2011年中に竣工したか2011年末時点で施工中のオフィス床面積合計に基づいて、順位付けされています。トップは断トツでHines、その後にTrammell Crow, Carter, JBG, Lowe Enterprisesと続きます。2位のトラメル・クローは日本でも比較的有名かもしれません。

(via nreionline.com)

一方、オフィスのオーナーのランキングを見ると、Brookfield Office Properties、The Blackstone Group、RREEF、Hines、KBS Realty Advisorsがトップ5となっており、不動産ファンドを運営するアセットマネジメント会社が目立ちます。

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