街の歩きやすさは不動産価格に影響している、という研究成果が報じられています。感覚的には当たり前のようですがそれが実証されています。
Walkability influences home prices more than you think
ブルッキングス研究所による研究で、ワシントンDC内のエリアを歩きやすさ5段階に分け、不動産価格やその他社会経済データとの関連を調査されたもの。
その結果、歩きやすさが1段階あがるごとに、住宅家賃は月301.76ドル高くなるとのこと。同様にオフィス賃料や住宅価格も高くなります。他にも、歩きやすいエリアが集まっている所の方が、歩きやすいエリア単独であるところよりも不動産価格が高い、等の興味深い指摘がされています。
ワシントンDCには行ったことがないので、歩きやすさの評価が妥当なものか判断がつかないのですが、ここで使われている歩きやすさの指標は、カリフォルニア大学アーバイン校とミネソタ大学により考案されたThe Irvine Minnesota Inventory (IMI)というものに基づいています。
このIMIは今まで全く聞いたことがなかったので少し調べてみましたが、ある街区の物理環境(モニュメント、横断歩道、信号、学校、公園等)178項目の有無について、歩きながら調査員が調査するという壮大なもののようです。実際にこのブルッキングス研究所の調査では大学生も協力して行われたようです。
他の歩きやすさの指標として、Walk Scoreについて時々目にしますが、行ったことのある場所についてスコアを見てみたところ、筆者の感覚としては、歩きやすくない所が何故か歩きやすいとの評価になっていたりして、いまひとつ信頼できません。
IMIは人手がかかりそうなので、この研究の他都市への展開は大変そうですが、アメリカ内の他都市や他国の都市を対象とすればどういう結果になるのかが気になります。ざっと調べてみたところ、今のところ日本では全く紹介されたり用いられたりされていないようです。研究のネタに困っている方がいればぜひ。