2012年10月4日

不動産サイトの戦い Zillowモデル vs Redfinモデル

先月にニューヨーク証券取引所に上場したTruliaの株価が好調なこともあり、アメリカの不動産検索サイトZillow, Trulia, Realtor.com, Redfinあたりの競争が盛り上がっています。

(via Zillow.com)

Zillow, Trulia, Realtor.com(運営はMove Inc.)は、日本で言うとHome'sのように、不動産会社から賃貸・販売物件情報を集めて、ユーザーが情報を検索できるサイト。Zillowでは、広さや設備等の物件情報に加えて、周辺相場の情報や、各物件の物件価値の概算、過去の販売価格などを見ることができます。収益源は、不動産仲介業者・エージェントによる広告。広告を買うと、ユーザーの検索結果の上位に表示されたり、物件情報のページに、買い主のブローカー候補として表示されます。

Redfinは、これらのライバル会社として挙がることが多いのですが、Redfinは自身が不動産仲介会社です。実際に自社にブローカーを抱えて売買の仲介を行なっています。オンライン検索に力を入れた不動産仲介業者というイメージです。Zillow等は不動産仲介事業ではなく、あくまでもメディア・広告事業なので、ビジネスモデルは大きく違います。

Redfinについて画期的と言われているのが、Redfinの仲介により家を購入した買主は、Redfinが受け取った仲介手数料の一部を、リファンドとして受け取ることができる点です。アメリカでは通常、売主が、売主側・買主側のブローカー両方の手数料を負担します。買主はどの仲介会社を通じて家を買っても仲介手数料負担は生じませんが、Redfinを通じて買うと、Redfinから数千ドル単位で リファンドが返ってくるので、実質安く家を買えることになります。


Zillowモデルの成長性に対する批判


この記事では、Zillowのビジネスモデル批判のレポートが取り上げられています。なかでも興味深い指摘は、広告主はアメリカの不動産ブローカーに限られる上に、収益源である広告を、相当な営業コストをかけて獲得するモデルなので、成長性に乏しいというもの。前四半期では営業費用3.8百万ドルの増加に対して、収益が4.8百万ドルしか増えていないとのこと。固定コストで事業を拡大できるFacebookやLinkedIn等のオンライン事業とは異なるという指摘。


Zillowモデルの情報の精度に対する批判


こちらの記事では、各サイトの物件情報の精度についての比較が取り上げられています。主な主張は次の2つです。

・調査対象エリアの仲介物件について、Redfinでは100%の物件が掲載されているが、Zillowには79%しか登録されていなかった。

・Zillowに売出中として掲載されていた物件の36%は、実際には既に売出中ではなかった。Redfinではその割合は0.1%だった。

つまりRedfinの方が、仲介物件数が豊富で、かつ、情報が新しく正確だというものです。これは、Redfinは不動産仲介業者であるために、業者間の情報共有システムMLS(日本におけるレインズ。アメリカでは利用登録者に対してオンラインで情報公開可能。)を利用できるのに対し、不動産業者ではないZillow等は自社ではMLSに接続できず、不動産業者から情報を得るしかないために生じる差です。

これに対して、Zillow側は、Zillowには賃貸物件や、売主により直接掲載された物件の情報がある、と反論しています。


この競争が今後どうなっていくか見ものです。Redfinがウェブサイトをさらに強化すれば、(少なくとも売買物件では)Zillowに勝ち目は無くなりそうな気がします。

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