2015年1月9日

アメリカの長期的な実質賃金成長トレンドは?


アベノミクスは物価が上がっただけで、実質賃金が目減りしているという記事をよく見ます。同じようにQEを行ったアメリカの実質賃金はどう推移していたのだろうと気になったので調べてみました。

下のグラフは、1970年を100とした時の、賃金と消費者物価指数CPIについて、その差(賃金-CPI)を示しています。これを見ると、昨年末の時点でこの差はゼロに近く、つまり、1970年から2014年の間に、賃金は物価と同じだけ伸びたということが分かります。そして、1980年頃からリーマンショック前まではこの差はマイナス、つまり賃金がインフレ率に追いついていけず、実質賃金が目減りしていっていき、リーマン・ショック後にその差が縮まり、ようやく1970年からの物価上昇分に追いついています。


下のグラフは、2つのデータの年間の成長率の差をとったもの。1980年頃からリーマンショック前はマイナス(賃金以上に物価が上昇)、リーマン・ショック後はプラス(物価以上に賃金が上昇)が多くなっていることが分かります。


余談ですが、上の2つの表の出典であるFREDは、Federal Reserve Bank of St. Louisが提供する経済データベースで、簡単にウェブ上でグラフが作成できて便利です。単純な時系列データだけではなく、今回使用したグラフのように、複数のデータから演算した結果を表示することができます。
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