2016年11月12日

トランプ大統領のアメリカ不動産への影響

次期トランプ大統領となることにより、どのような影響が米国不動産市場に出てくるのでしょうか。

キャップレートが上昇する


各所でその考察がされているところですが、例えばNREIのこの記事。利上げペースが遅くなる、CMBS市場が短期的には不安定になる、新規建設がスローダウンする等いくつか起こりそうなことが挙げられていますが、確かに起こりそうだなと思われるのは、キャップレートが上昇するだろう、という点です。

インフラへの投資、減税により財政規律が緩み、また、閉鎖的な貿易政策を行うことによりインフレ圧力がかかります。こうしたことも織り込んでか、米国債10年物の利回りは急上昇しています。


キャップレートと金利との関係


キャップレートは大まかに言うと不動産の収入を価格で割ったもので、株におけるPERの逆数のような指標です。キャップレートと10年物国債利回りの間には緩やかな相関(相関係数0.7)があります。

(via TIAA)


以下のようにキャップレートと国債利回りとの間のスプレッドは一定ではないため、単純な相関にはなりません。例えば、2007年頃の不動産サイクルのピークでは、市場が不動産に対して相当強気だったのか、ほぼスプレッドはありません(不動産利回り=国債利回り)。


(via TIAA)

とはいえ、ざっくりいうと金利が上昇する環境下では、キャップレートが上がる傾向にあるのは変わりません。不動産価格=不動産からの収入÷キャップレート、であるために、もし不動産からの収入が不変であれば、Cap Rateの上昇は不動産価格の低下を意味します。キャップレート上昇のなかで不動産からのリターンを確保するには、不動産からの収入も一緒に上昇していくかがキーとなります。
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